【イベント】2025年8月9日 「無人駅に関する情報・意見交換会」
視覚障害者の歩行の自由と安全を考えるブルックの会では、2024年11月に学習会『広がる駅の無人化!?――守られているのか私たちの安全』を行い、約70名の参加者とともに、視覚障害者の駅ホーム利用の権利や事例について学ぶ機会を持ちました。
2025年度も引き続き無人化駅を安全に利用するためにはどうすればよいのかをテーマとし、さらに課題を探るために、8月9日にオンラインイベント「無人駅に関する情報・意見交換会」を行いました。参加者は約20名で、参加地域は北陸、関東、中部、関西、四国、中国、九州でした。以下、意見交換会で出された意見のまとめです。
(1)無人駅の状況とその情報について
① 特に地方では無人駅の数が急増している。
② 電車のワンマン化により、運転手が乗客の乗降を見守る業務もしなければならないため駅ホーム上の視覚障害利用者の取り残し、ホーム転落の見過ごしなど事故リスクが高まっている。ホームと電車の間に落ちたにも関わらず、運転士がなかなか気づかなかったことがあった。
③ 過去の経験から、利用する駅が有人駅と思い行ったところ、実際は無人駅であったということがあった。事前に、利用する駅が無人か有人かの情報を、視覚障害者にも分かるように提供してほしい。また、時間によって無人となる駅についても、無人である時間帯の情報がほしい。
(2)インターホンについて
① 無人化を補うために設置されている有人駅と通話できるインターホンが、駅のどの位置にあるのかが分からない。
② インターホンの使い方が分からない。インターホンがタッチパネル方式であるなど、利用方法が分からず、操作もできない。音声案内が必要。
③ 利用する鉄道事業者によって、インターホンの仕様が異なるため、事業者ごとに覚えなければならず、視覚障害者にとって使用が煩雑である。
④ インターホンを利用して駅員とスムーズに会話するためのサポートがほしい。
(3)駅員誘導の事前予約、介助について
① 必ずしも事前予約を入れてから電車を利用できるとは限らないため、事前予約ができない場合でも問題なく駅ホームを利用するためのサポートがほしい。
② 事前に駅舎に連絡を入れてもつながらない場合がある。
③ 事前予約を入れていても、長い時間待たされることがある。
④ 事前予約アプリで登録する時間がかかる。
⑤ 事前予約アプリなど事前予約方法が、鉄道事業社によって異なるためアプリの使用が煩雑である。
⑥ 介助の依頼をしてからサポートを受けるまで、数十分待たされることがある。
⑦ 大阪メトロには駅員ではない介助支援員や誘導ボランティアの仕組みがあるが、他社でも広がってゆくとよい。
(4)無人駅の利用に関連する電車内のアナウンスについて
① 次に到着する駅名を繰り返し知らせてほしい。
② 左右どちらの扉が開くかを知らせてほしい。
③ 乗降時に扉付近のボタンを押さなければ扉が開かない場合、開閉ボタンの位置もアナウンス等で知らせてほしい。
④ 電車の遅延情報や乗り換え時にホームが変わる場合のお知らせなど、分かりやすく伝えてほしい。
(5)無人駅のICカードリーダーや券売機について
① 自動改札はなく、乗降口でICカードリーダーにタッチしなければならない駅がよくあるが、ICカードリーダーの位置がわからない。
② ICカードリーダーが障害者割引の乗車に対応していない
③ 多機能券売機の場合、機能が多く、操作が複雑で分かりにくい。
④ 券売機がタッチパネルの場合、どこをさわればよいのか分からない。
(6)鉄道事業者への要望・制度への要望
① AIやカメラ、遠隔サポートなどのツールを充実させてほしい。
② ホームドアや転落防止柵など安全対策を義務化する制度づくりが必要。
③ ハード面だけではなくソフト面でも対策を講じるようにしてほしい。
④ 視覚障害者だけでなく、身体障害者や高齢者、小さい子ども連れの親など様々な立場の人が快適に利用できる公共交通の在り方を考える。
⑤ 視覚障害者や身体障害者の目線に立って改善策を講じてほしい。
(7)利用者としての対策
① 鉄道事業者の介助サポート窓口に事前に相談する。
② 就労の場面でも、同行援護に準ずるサービスを利用することができる。
③ 鉄道事業者との定期的な情報交換や話し合いの場を設ける。
④ 鉄道事業者に要望して鉄道施設での訓練や安全体験を定期的に行い、緊急時の対応能力を高める。
⑤ 鉄道事業者に対して声を上げ続ける。

